一般不妊治療で異常が認められると、下記アルゴリズムに沿って治療が行われます。
(生殖医療の必修知識 日本生殖医学会 引用)
排卵障害の治療
排卵障害は不妊原因の25%を占めます。WHOのグループ分類では以下の3つに分かれます。- 視床下部ー下垂体の機能不全
視床下部性無月経など、排卵障害の10% - 視床下部ー下垂体ー卵巣系の機能不全
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や高プロラクチン血症を含み、排卵障害の85% - 卵巣機能不全
早発卵巣不全(POF)など 排卵障害の約5%
よく用いられる内服の排卵誘発剤には、クロミフェン・セキソビット・レトロゾールなどが用いられます。
注射では、HMG・FSH製剤などがあり、遠方で通院できない患者様には自己注射を指導しています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対して、薬物療法が効果を示さない場合、腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)を行うことがあります。
卵管障害に対する手術療法
卵管が詰まっている場合には卵管鏡、卵管を通す手術、体外受精などの治療が行われます。最近では、体外受精が普及したため卵管を通す手術を行うことは、非常に少なくなってきていますが、卵管鏡は開腹手術に比べると侵襲が少ないので現在でもよく行われています。
卵管鏡下卵管形成術によって卵管を再開通させることができれば、それまで無効であっても、タイミング療法や人工授精による妊娠が十分に期待できます。
ただし、卵管の程度によっては卵管の再開通ができない場合があり、再開通に成功しても術後早期に卵管の再閉塞・再狭窄が生じる可能性もあります。
原因不明不妊の治療
一般不妊症検査で、もっとも多いとされます。その中には、卵管造影検査は6割程度の異常しか検出できず、残りの4割は原因不明不妊とされているものが含まれます。
他にも、体外受精を行ってはじめて分かる受精障害、卵分割障害、着床障害は、この原因不明不妊に含まれています。
このため、原因不明不妊の患者様は下記フローチャート(生殖医療の必修知識 日本生殖医学会 引用)に沿って治療を行っています。
特に注意が必要なのが、不妊期間と患者様の年齢です。
36歳以上で不妊期間3年以上の患者様には、不要にタイミング療法で大切な時間を費やすことのないように指導しています。